現役隊員のストーリーを、インタビューをもとに紹介いたします!
(投稿は、隊員の個性が出るようにしており、統一されておりませんがご了承ください)
第8弾は、美人林で有名な松之山地域・下川手地区で活躍中の
ローラン・アントワーヌ・テオフィルさんです。
十日町市で初めての外国人の協力隊員です!
Laurain Antoine Theophile
ローラン・アントワーヌ・テオフィル
フランス出身。
フランスの大学卒業後、欧州や中央アジア、南米での仕事を経て、妻の仕事の都合で来日。
2022年12月、地域おこし協力隊として松之山・下川手地区に着任。
現在は、耕作放棄地での米作り、養蜂、美人林のブナ材の商品開発を手がけながら、
里山文化を享受して田舎暮らしを楽しみ、
地域の人たちからは「アンさん」と親しまれている。
来日したのは?
直接のきっかけは、妻の仕事の都合です。2017年に初めて来日しました。
もともと日本に興味を持ったのは、大学時代です。日本の歴史を専門にする教授が、縄文時代など古い時代の歴史から教えてくれました。そこで、日本の文字や食文化、宗教などが、外国のものを混ぜたりその影響を受けたりしながら、“日本のもの”にしていった歴史があることを知って、日本にはものごとを融合する力があって、興味深い国だなと思っていました。例えば、金平糖やカステラと同じように、天ぷらもポルトガルから入ってきていますよね。でも、日本の天ぷらはとてもレベルが高くて、サクサクでおいしい。ポルトガルの天ぷらと全然違いますよ(笑)
協力隊になったのは?
来日してしばらく東京に住み、日本語を学びながら仕事をしていましたが、言葉の壁もあったし、居場所も感じられなくて、週末になると夫婦で田舎をよく旅行していました。二人とも田舎で育ったので、終の棲家にできる“住める田舎”を探していたという感じですね。
十日町のことは、ブラジルにいた時にオリンピックの関係で火焔型の縄文土器を見て知りました。コロナ禍でいったんフランスに帰国していましたが、妻から協力隊のことを聞いて、「協力隊の多い十日町なら、外国人でも受け入れてもらえるかもしれない」と思ったので、日本に戻ってからおためし協力隊に申し込み、稲刈りや雪下ろしなどに挑戦させてもらいました。そしてこの時に、東京では感じられなかった、受け入れてもらえている感覚や自分が誰かの役に立てているというような感覚を持てたのが、協力隊になってこの地域や十日町を残す方法を考えていきたいと思ったいちばんの理由です。
協力隊としての仕事は?
耕作放棄地での米作り、養蜂、地域への視察の受け入れ、コーラス、お茶会とその送迎、美人林のブナを伐採して作る木工品とレーザー加工による商品開発・販売などを主にしています。自分を受け入れてくれたこのあたたかい集落のために何ができるか、地域の可能性やよさを発見しながら、提案や試行錯誤を繰り返しています。
▲集落の集会所でのお茶のみの様子。交通手段のない方たちには、送迎もしています。世話人さんは、「アンさんは、すごくがんばってくれているよ。」「アンさんのおかげでお茶会が定着したのは、すごくよかった。月1回のお茶会を、みんな楽しみにしているんだよ」と、笑顔で話してくれました。
▲美人林のブナで作った木工品について、世話人さんに相談しているところ。木の厚みや木目の向き、レーザー加工で入れる文字やイラストの大きさや濃さなどいろいろなことを考えて、助言をもらって完成させます。丁寧さとスピートのバランスをとりながら加工することが、結構難しいのだそうです。
大変だったことは?
方言です。日本語も難しいけれど、方言はもっと難しいです(笑)
それから、集落の感覚とよそ者の感覚があること。みんな持っている文化が違うから、しっかりコミュニケーションをとることが大切です。みんな違っていいんです。
そして、そこで生まれる大変さから逃げるのではなく、乗り越える方法を探すほうが、地域の考え方を理解したり将来性を考えるきっかけにもなったりして、自分の人生も豊かになると思います。今も毎日のようにたくさんのことを勉強させてもらっていて、とても楽しいですよ。
▲森森市で、木工品についてお客さんに説明しているところ。伐採→製材→2~3年乾燥→加工…等々、手間ひまと愛情をかけて作っています。スベスベでやさしい触り心地の美人林のブナ。ぜひお手に取ってご覧になってください。
十日町や松之山の暮らしの魅力について
日本の自然の力、おいしい水、きれいな空気、土の香りの中で生活できること。おいしい山菜や野菜、きのこなどを使ったお母さんたちのおいしい料理。
東京のどんなにおいしいお店の料理よりも、お母さんたちの料理はおいしい!梅干しや干し柿も、作り方を教えてもらいながら作っています。
それから、毎日のように松之山温泉に入れること。東京にいたら贅沢なことだけど、ここにいると当たり前にできます。温泉に浸かっているうちに“温泉仲間”ができて、いろいろなことを教えてもらえて、生活がさらに充実したと確信しています。
何より忘れてはならないのは、雪です。フランスでは、こんなに雪が降るところに人は住んでいません。でもここでは、除雪をはじめ、田植えや稲刈り、日常のちょっとしたことでもみんなで助け合いながら生活しています。工芸品の文化も残っていて、世界中のどの集落よりも結びつきが強くてあたたかい。これは、雪のおかげだと思います。だから、私は雪が大好きです。一晩でたくさん降った翌朝の静寂を知っていますか?こんなにたくさん降るのはステキですよ!
このHPを見て、移住や協力隊を考えている人へメッセージを!
住み慣れた街を離れて田舎に住むと決めることは、大変なことだと思います。でも、私は思い切って東京を離れてみたら、もう戻れないと感じるくらい松之山でたくさんの魅力や価値を見つけました。また、外国人にとっても、協力隊になることは日本を理解するチャンスだと思います。東京での経験より、話し方や方言、生き方を理解できて、大変なこともあるけど、勉強になることがたくさんあるからです。
そして、地域おこし協力隊の制度は、たぶん日本にしかない制度だと思います。だから、チャンスがあるなら試してほしい。試してみることがすごく大事です。
▲松之山で、顔に”すみ塗り”をする行事と言えば…?みんなで無病息災・家業繁栄を願いましょう!
近年、物価高や人口の過密化などが続き、「都会だと生活が不安定だと思います。でも、助け合いができる田舎の生活は強くて安心です」と、強調して言いました。
言葉の壁を乗り越えながら、世話人さんや地域の方々と密にコミュニケーションを図って関係性を築き、地域の将来を見据えて自分にやれること・自分がやりたいことを模索して、地域に還元できることを考えているアントワーヌさん。協力隊になってから、「両親や妻に、“表情が明るくなった。元気になってきた”と言われるようになった」そうです。
また、最近、ご両親がフランスから初めて来日され、いっしょに稲刈りをしたとか。その時に、「集落総出で歓迎会を開いてくれたんです」と、嬉しそうに話してくれました。こうしたエピソードからも、アントワーヌさんが地域の方々から親しまれていることと、地域のあたたかさが伝わってきます。
日本に興味をもったきっかけが、日本が外国のものを融合させて独自の“日本らしさ”を作ることだと言っていたように、価値観や文化が違っても、アントワーヌさんは地域の人たちと、お互いが持つものを融合させながら地域を作り上げているようでした。外国人だからこそ大変なこともたくさんあるだろうと思いますが、何事も糧として、強くしなやかに生きている姿はとても清々しく、かっこよかったです!
▲森森市で購入できる木工品の一部。1つ1つが手作りなので、2つとして同じものがないのが魅力的です。「訪れてくれるお客さん一人ひとりに、お気に入りが見つかりますように…☆彡」今は、ブナを使ったおもちゃを鋭意製作中。そのうち、おもちゃの軽トラックがお店に並ぶかも…⁉
以上、アントワーヌさんの紹介でした。
十日町市では、里山で活躍する協力隊を募集しています。
ここ松之山・下川手地区でのアントワーヌさんの協力隊としての任期は、あと約1年。次の協力隊を探したいということでした。
外国人も大歓迎です!少しでも興味のある方はお気軽にオンライン移住相談へお申し込みください。お待ちしています⛄
アントワーヌさんの活動している松之山・下川手地区のSNSはこちら!!
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